精子について知っていることはありますか? とても身近な存在なのに、精子の事をみなさん何も知らないのが現状です。
人間の根源である精子をよく知ることに損はありませんし、妊活にも役立ちます。
ここでは精子の基礎知識について、あれこれお話しさせていただきます。

精子とは?

精子は男性の精巣(睾丸)でつくられる大きさ60マイクロメートル程の、子供を作るために必要な染色体(遺伝情報)が入っている入れ物です。
精子の頭部には、22本の常染色体と、1本の性染色体(XもしくはY)が入っています。また、卵子めがけて泳いでいくので、運動するための尾部が付いています。
性別の決定権は精子にあり、X染色体を持つ「X精子」が卵子と受精すると女の子、Y染色体を持つ「Y精子」が卵子と受精すると、男の子が産まれます。

精子にも質がある。

一般的に精子は、「数・運動・形」で性質(精子の質)を判断します。
もちろん数が多いほうが良いですが、運動率もとても重要で、運動率が高くさらに形も良い精子が受精能(妊娠のしやすさ)があると考えられています。
60マイクロメートルととても小さな精子が、子宮内を泳ぎ卵子に辿り着かないといけないわけですから、運動率が高い元気な精子が妊娠しやすいのは当然ですね。
また近年では、精子の頭部にある染色体に傷が付いていると、受精しづらいこともわかってきました。

精子は健康のバロメーター。

生活習慣が悪いと活性酸素が過剰に生成され、体内に酸化ストレス(老化のストレス)が増加します。
これは動脈硬化、心筋梗塞、糖尿病、癌など、さまざまな病気を発症する原因で、不妊症の原因にもなります。睡眠不足や喫煙は酸化ストレスを引き起こし、癌や心臓病の原因になることが知られていますが、不妊症も酸化ストレスによる原因ということを考えると、癌や心臓病と全く違う病気というわけではなく、人生の中において老化の一つの流れであることが分かります。
精子の状態を知ることは、自分自身の老化の状態を知ることに近いのかもしれません。

年齢と精子の関係。

多くの報告がありますが、男性も35歳を過ぎてくると精子の状態が悪化してくることが知られています。数や運動には変化がなくとも、染色体の中にあるDNAに損傷ができるため、自然妊娠がしづらくなる可能性があります。
(※顕微受精をすれば老化した精子でも結果は変わらないという報告もあります。)
また、年令を重ねるに伴い精子中のY染色体を持つ「Y精子」が減ることが知られており、女の子ができる可能性が上がるかもしれません。

射精と健康。

射精回数が少ない男性ほど、前立腺がんを発症しやすいという研究結果もあり、適度な射精は前立線がんなどの病気や老化の予防に効果が期待できます。
またセックスの回数が多いほど、心疾患、精神疾患、ホルモン疾患、性機能障害等さまざまな病気にかかりづらくなることが知られています。
(※マスターベーションではそのような良好な効果があるかは不明。)
勃起障害があることが分かると、心筋梗塞のリスクが高いという報告もあり、注意が必要です。
常日頃から、セックスやマスターベーションで勃起の状態を確認することはとても重要です。

精子にいい事。

「よく寝る」「運動する」「痩せる」「タバコを吸わない」「栄養の取れた食生活をする」精子が少ない場合でも、医療機関では生活習慣の改善指導を行います。
生活習慣が悪いと活性酸素が過剰に生成されることで、体内に酸化ストレスを増加させます。
酸化ストレスは動脈硬化、心筋梗塞、糖尿病、癌など、さまざまな病気が発症する原因で、不妊症の原因でもあります。普段から酸化ストレスがかからないような生活を心がける事がとても重要です。

精子と男性不妊の関係。

WHOが2010年に出した精液検査の基準があり、精液量が1.5ml以下、精子濃度が1500万精子/ml 以下、運動率が40%以下であると、妊娠しづらいとされています。
しかし、これはあくまでも基準であり、これ以下でも妊娠できる人はいますし、逆にこの値以上でも妊娠できない人がいます。